
basketballking
2026年05月06日(水)10:02

ロサンゼルス・レイカーズは、ヒューストン・ロケッツと相見えたプレーオフ1回戦を突破。この状況を誰よりも冷静に整理していたのは、勝利の立役者であるレブロン・ジェームズだろう。
自身のPodcast『Mind the Game』でスティーブ・ナッシュと向き合ったキングは、最新エピソードで、ロケッツのシリーズを振り返っている。
「結局のところ、ブックメーカーが何を言おうが、専門家が何を言おうが、試合は常に四本線の内側で決まる。俺たちはそのために準備しなければならなかった」
レブロンはこのように会話を切り出し、長年の経験と準備の重要性を本質的に説き始めた。このラウンド、『ESPN』のアナリストたちは16人中15人がレイカーズの敗退を予想。しかし、蓋を開けてみれば4勝2敗でレイカーズに軍配が上がり、レブロンは専門家たちを結果で黙らせたのだった。
ただし、余裕は全くなかった。先に4勝を挙げるのではなく、常に48分に切り分けて、目の前の試合に全力を捧げたという。
「状況が厳しいのは理解していた。ルカ(・ドンチッチ)もAR(オースティン・リーブス)もいなかったし、相手は本当に素晴らしいチームだった。でも試合はコートの中で決まる。しっかり準備し、高いレベルで競い、ヒューストンが持ち込んできたフィジカルに対抗できれば、1試合ずつ勝つチャンスはあると思っていた。重要だったのはシリーズ全体じゃない。『どうやって1試合を勝つか』だけだった。そして少しずつ、自信を積み重ねていった。みんな良いプレーをしてくれて、最終的には素晴らしいチームを相手に6試合で勝ち切ることができたんだ」
レイカーズは、3勝0敗で王手をかけたが、その後連敗を喫し、通過には一時暗雲が立ち込めた。だが、レブロンは第6戦の出来と、シリーズの勝ち方を誇らしく語っている。
「俺はリーダーとして、『どちらが冷静さを保てるか』が重要だと感じていた。ゲーム6へ向けた俺のテーマは、とにかく仲間たちに自信を吹き込むことだった。『攻守両面でミスを減らせば、このシリーズを終わらせられる』ってね。そして、ゲーム6ではシリーズを通して初めて完全な試合ができた。3勝0敗だった時ですら、俺たちはまだ完全な試合はできていなかった。それをやってのけて、シリーズを締めくくったんだ」
自信の吹き込み方、これは飛行機に乗り込む瞬間から始まってるという。どういう態度で飛行機へ乗り込み、その瞬間をどう受け止め、現実から逃げないという強い意志。これらのマインドセットが、その後の準備のすべてに繋がっているという。
レブロンはマインドセットを含め、自身の経験を惜しみなくチームメートに伝えている[写真]=Getty Images
レイカーズの茨の道は続く。セカンドラウンドで待ち受けるのは、昨年王者のオクラホマシティ・サンダーだ。5月6日(現地時間5日)に敵地で開催されたゲーム1は、108-90で敗戦。守備では要所でコミュニケーションミスが発生したものの、エースのシェイ・ギルジャス・アレクサンダーを18点に抑えることに成功しており、ショット成功率が2割以下だったリーブスにオフェンスのリズムが戻ってきていたら、結果はわからなかったかもしれない。
レブロンは、対戦相手であるサンダーにどのような印象を抱いているのだろうか。
「若いチームだけど、本当に規律のあるチーム。これって普通は両立しないんだ。若いチームは勢い任せになったり、感情的になったりすることが多い。でも、彼らは違う。自分たちが何をやっているのか理解している。そして、シェイがゲーム全体をコントロールし、周囲には彼を補完する完璧なピースが揃ってる」
ナッシュは、レイカーズの経験が優位に働く可能性を示唆したが、レブロンの考えはそうではない。ターンオーバーを最小限にしながら、サンダー以上の運動量が必要だとしている。
「経験は重要だが、経験だけでは勝てない。走らなきゃいけないし、戻らなきゃいけないし、フィジカルにも対抗しなきゃいけない。OKCは本当に身体を当ててくる。しかも、48分間ずっと。だから、メンタル的にも疲弊する。ただ、俺たちはプレーオフのバスケットを理解しているし、1ポゼッションの重みや、どの場面で流れが変わるかを理解している。そういう部分ではアドバンテージがあると思う」
サンダーに勝利するための方策を分析するレブロン[写真]=Getty Images
レブロン曰く、プレーオフのバスケットボールは“別競技”だという。トランジションディフェンス、ボックスアウト、1回のミスローテーション。こうした小さなプレーの一つが、プレーオフでは明暗を分ける。また、連戦ではチームや個人の癖が暴かれるとし、次のラウンドにコマを進めるためには、シリーズ中の進化と適応力が重要であると語っている。
41歳のレブロンに残された時間は多くはなく、契約が満了する来年以降は所属先はおろか、プレーオフに出場できる保証さえない。だからこそ、再びリングを手にするチャンスには今なお飢えている様子だ。
「優勝したいと思う気持ちが理由で、今も現役生活を続けている。ただプレーしたいだけなら、とっくに辞めている。優勝したいし、競争したいんだ。それに、自分はまだそのレベルにいると思ってる」
磐石のサンダーに勝ち越すのは、容易ではない。それでも、レブロン・ジェームズはこの歳になってもなお、挑戦者としてチャンピオンに牙を向いている。
文=Meiji