
basketballking
2026年06月28日(日)05:30

◆■指名漏れでも夢は終わらない
NBAドラフト2026は、上位勢がおおむね予想に沿った顔ぶれとなった一方、当落線上にいた選手の中には、惜しくも名前を呼ばれなかった者もいる。
だが、指名されなかったからといって、NBAへの道が閉ざされるわけではない。ドラフト終了直後から、各球団のスカウトと代理人による“指名外市場”の争奪戦はすでに始まっている。
『DraftExpress』のジョン・チェプケビッチによると、ロサンゼルス・レイカーズはセントルイス大学のセンター、ロビー・アビラとエグジビット10契約で合意したようだ。
エグジビット10契約は、原則として1年間、リーグ最低保証額で結ばれる非保証のNBA契約だ。選手が開幕前にウェイブされた後、チーム傘下のGリーグで一定期間プレーした場合には、規定額のボーナスを受け取れる。さらに、レギュラーシーズン開幕前であれば、2ウェイ契約への転換も可能となる。
◆■“カレッジ・ヨキッチ”と呼ばれた人気者
[写真]=Getty Images
NCAAには、AJ・ディバンサ(ワシントン・ウィザーズ)やキャメロン・ブーザー(メンフィス・グリズリーズ)のような将来のスター候補とは別に、成績だけでは測れない人気を獲得する“カルチャーヒーロー”が存在する。
ルイジアナ工科大学時代のケネス・ロフトンJr.(上海シャークス)は、愛嬌のある体型からは想像しにくい技術を持つ重量級ビッグマンとして話題を呼んだ。DJ・バーンズJr.(ビネイ・ヘルツリーヤ)はノースカロライナ州立大学での番狂わせ続きのトーナメントランでシンデレラストーリーを築き、名門ゴンザガ大学の史上最多得点者であるドリュー・ティミー(ロサンゼルス・レイカーズ)は、アイコニックな口髭とプレースタイル、そして軽快な受け答えにより、近年のカレッジ選手で最も画面映えのする選手の1人だった。
アビラもまた、その系譜に連なる存在だ。度付きのスポーツゴーグル、クラシックな体型とヘアスタイル、フェイク、フック、ピボットを多用する古風なポストプレー。そうした特徴から、彼はSNSやメディアで“クリーム・アブドゥル・ジャバー”、“カレッジ・ヨキッチ”、“ラリー・ナード”など、数々の愛称で親しまれてきた。
だが、アビラは単なるネット時代の人気者ではない。イリノイ州出身の22歳は、身長208センチを誇るスキルフルなビッグマンだ。
◆■万能型ビッグマンの実力
[写真]=Getty Images
インディアナ州立大学で過ごした最初の2シーズンでは、1年時にミズーリ・バレー・カンファレンスのオールフレッシュマンチーム、2年時にオールカンファレンス・ファーストチームに選出された。2024年には平均17.4得点、6.6リバウンド、4.1アシストを記録し、チームのナショナル・インビテーション・トーナメント(NIT)準優勝にも貢献している。
その後、ジョシュ・シャーツヘッドコーチの後を追う形でセントルイス大学へ転入。2024-25シーズンは平均17.3得点、6.9リバウンド、4.0アシストを記録し、A-10のセカンドチームに選ばれた。最終学年となった2025-26シーズンは、チームを29勝とNCAAトーナメント2回戦進出へ導き、A-10最優秀選手賞を受賞。全35試合に先発し、平均12.8得点、4.1アシストを記録した。
アビラの魅力は、ポストスコアラーとしての足技だけではない。ハイポストを起点とするパス、ハンドオフからの展開、外角シュート、そしてサイズに似合わないゲームメイク能力を兼ね備えている。大学最終年には、3ポイントで1試合平均4.6本の試投がありながら成功率41パーセントを記録した。
現代NBAでは、攻撃全体を動かせるビッグマンの価値が高い。アビラは、ニコラ・ヨキッチのような万能型センターと同列に置くにはまだ早いが、センターがハイポストに立ち、周囲を生かすオフェンスの可能性を感じさせる選手ではある。
◆■レイカーズが獲得した理由は…
[写真]=Getty Images
一方、ドラフトで指名されなかった理由も明確だ。NBAレベルでは、リムプロテクトと横方向の機動力に懸念がある。センターとして守備の最後尾を担うにはサイズと運動能力が十分とは言い切れず、パワーフォワードとして起用する場合も、スイッチへの対応力が問われることになる。
それでも、レイカーズが注目したのは、アビラのパス、シュート、ハイポストでの創造性だろう。ドンチッチを中心としたオフェンスでは、ショートロールやエルボー付近で意思決定できるビッグマンには価値がある。
エグジビット10契約は、サマーリーグ、トレーニングキャンプ、Gリーグを通じて、自分の居場所をつかむための入口にすぎない。だが、アビラにとっては十分に価値のある最初の一歩だ。
今夏のサマーリーグは、レイカーズのユニフォームを着たクリーム・アブドゥル・ジャバーのプレーに是非、注目してみてほしい。
文=Meiji