
basketballking
2026年09月12日(土)03:22

フィラデルフィア・セブンティシクサーズでの新章開幕を控えるジェイレン・ブラウンが、バスケットボールコートではなく、ボクシングリングに上がった。
ブラウンは9月9日(現地時間8日)、ナイジェリア最大の港湾都市ラゴスにある『NIS Gymnasium』で公開スパーリングに参加。ブラウンと対戦相手は互いにヘッドギアを装着していたものの、実際にパンチを交換しており、映像ではサウスポーに構えたブラウンがジャブを当てたり、相手の左フックをかわす場面が確認できる。なお、本人はSNS上で「このための準備はゼロだった」と明かしており、対戦相手の身元やラウンド数などの詳細は公表されていない。
今回のスパーリングは、ブラウンが自身の非営利団体「The 7uice Foundation」とともにナイジェリアを訪問する過程で行われたものである。同財団は、教育、健康、リーダーシップ、テクノロジーなどを通じ、機会に恵まれない若者を支援する活動をしている。今回のボクシングシーンを記録した財団の投稿には、「欲しいもののためには戦わなければならない」と言う言葉が添えられ、リングでの戦いを若者へのメッセージとして重ねた。
格闘技とブラウンの関係性は、NBAファンにも周知されている。
父マーセレス・ブラウンは元プロボクサーであり、キャリア33勝18敗1分け、25KOを記録した元WBU世界ヘビー級王者。父だけでなく祖父もボクシング経験者で、ブラウンにとってファイトスポーツは家系にもつながっている。ブラウン自身も、2023年のイースタン・カンファレンス・ファイナルでマイアミ・ヒートに敗れたあとから、ムエタイを本格的にトレーニングへ導入した。
また、今年2月のオールスター・ウィークエンドでは、NBA引退後のセカンドキャリアとして、格闘技への関心を示している。「キャリアが終わったあと、UFCやボクシングのようなものに挑戦してみたい」と語っており、UFCのデイナ・ホワイトともすでに会話済みだ。
一方で、ブラウンの格闘技への情熱は単なる趣味の領域ではない。『Men’s Health』の取材では、ムエタイにより股関節の可動域が広がったことで、ディフェンス時に低い姿勢を保ち、バランスを向上させる効果があると説明。オフには週3回ほどムエタイに取り組み、NBA選手としての体づくりにも応用してきた。
だが、NBAの現役選手がコンバットスポーツに参加することは、当然歓迎されていない。
NBAとNBPAの労使協定に付随する標準選手契約では、重大な身体的負傷のリスクを伴う活動として「あらゆる格闘技、ボクシング、レスリング」を明記している。ここには他にもスカイダイビングやオートバイの運転などさまざまな種目が記載されているが、選手がそれらの禁止活動によって負傷した場合、契約上保証されている基本報酬の保護が適用されない可能性がある。ボクシングをしただけで直ちに出場停止になるような規定ではないが、そこで重傷を負えば巨額の保証契約にも影響する取り決めなのだ。
幸いにも、今回のスパーリングはケガなく終えたが、ブラウンの格闘技への関心はリップサービスではない。数週間後には、トレーニングキャンプがスタート。今シーズンはオフのリングよりもコート上で激しい闘争本能を見せてくれるだろう。
文=Meiji