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2026年10月27日(火)04:26

10月24日(現地時間23日)、敵地でのロサンゼルス・レイカーズ戦。ロサンゼルス・クリッパーズの先発として八村塁の名前がコールされると、満員のクリプトドットコム・アリーナは大歓声に包まれた。
「ここで素晴らしい日々を送った。レイカーズ・ネイション(レイカーズのファン)の人たちのことが大好きだし、会いたかった」。八村は感慨深げに話した。
八村にとっては、昨シーズンまで3年半を過ごしたアリーナだった。2023年1月23日にワシントン・ウィザーズからレイカーズにトレードとなり、その翌日、自らの将来に思いを馳せ、高鳴る胸を抑えながら、このアリーナに足を踏み入れた。
ここで、レブロン・ジェームズ(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)、アンソニー・デイビス(ワシントン・ウィザーズ)というスーパースターとフロントコートを担い、過去1シーズン半は、ルカ・ドンチッチという新たなスーパースターと共闘してきた。この場所で、時には思い通りにいかない葛藤を抱きながら、強豪チームを支えるロールプレーヤーとなり、一流のシューターとなった。スタンドから何度「ルイ!」という歓声が響き、八村がビッグプレーを見せるたびに会場が沸いたかは、計り知れない。レイカーズの背番号28番は、ゴールドを基調とし、キラキラと光るこのアリーナで、確かな成長を遂げた。
◆■クリプトでの温かい歓迎…盟友ドンチッチやリーブスとの再会
盟友ドンチッチとマッチアップ [写真]=Getty Images
懐かしかった。かつての盟友との再会が、八村を笑顔にした。
試合前のシュート練習でコートに現れると、セキュリティガードとフィストバンプを交わし、常連のファンと立ち話をし、アシスタントコーチらとハグ。そして、仲のよかったオースティン・リーブス、最高の相棒だったドンチッチと抱き合い、はしゃいでいた。
試合最初のタイムアウト時には、レイカーズ所属時代のハイライトと“Welcome Back”のメッセージが流れた。「気づかなかったので、最後のちょっとだけ見た」そうだが、「歓声も聞こえて、クリプトに戻れて、レイカーズのファンの前でまたプレーできて、すごくうれしかった」と顔をほころばせた。
レイカーズのJJ・レディックヘッドコーチ(HC)は試合前、八村について、「(ダリアス・)ガーランドと塁は、いつでもシュートを打っていいという“ゴーサイン”が出ている。クリッパーズは、かつてポール・ジョージ(ボストン・セルティックス)や、時にはカワイ・レナード(トロント・ラプターズ)のために用意していたのと同じような戦術を、塁のために多く用いている」と話し、「塁の“キャッチ&シュート”の3ポイントは制限しなければならない。彼のために用意されたプレーに対して、オフボール・ディフェンスを徹底し、チームとして決めた守備プランをしっかりと遂行する必要がある。堅実な守備を心がけ、彼に難しいシュートを打たせるように仕向けることが大事」と警戒した。
レイカーズは試合開始から、八村に優れた守備力を持つマティス・サイブルをつけた。ワシントン大学出身のサイブルは、同じワシントン州の強豪ゴンザガ大学と「毎年恒例の名カード」として対戦していた。そのため、ともに2019年ドラフト組の2人は、八村がゴンザガ大でプレーしていた3年間、毎シーズン顔を合わせていた。八村が3年生のとき、同点で迎えた後半残り1秒を切った場面で決めたゲームウィナーを、サイブルは阻止しようとした八村のすぐそばで見届けた。
切磋琢磨し合ったライバルだっただけに、サイブルも「スカウティングレポートを見ると、塁がチームのオフェンスにおいて非常に重要な存在であり、彼を中心としたプレーが数多く組まれていることが分かる。彼にとって今シーズンはオフェンスの核として飛躍する絶好の機会になるはず」と八村のチャンスを我がことのように喜んでいた。
だが、コート上では別だ。開始早々から八村に厳しいディフェンスで挑んだ。スイッチでいったん八村から離れたが、ダブルチームで行く手を阻まれた八村がパスを出そうとしてボールをこぼすと、すかさず奪って攻撃につなげた。第2クォーターには、八村がドンチッチからサイブルへのパスをスティールし、ファストブレイクでレイアップを試みようとした寸前に、サイブルが追いついてブロックした。
レディックHCが語ったように、レイカーズは八村のマークを怠ることはなかった。そんななか、八村も素早いキャッチ・アンド・シュートで3ポイントを沈めたり、味方のミスショットのリバウンドに飛び込んで、そのままレイアップを決めたりして得点を重ねた。ドンチッチからトラベリングを誘い、ドンチッチに向かって雄たけびを上げた。身長218センチのウォーカー・ケスラーからクローズアウトを受けながら3ポイントシュートを決め、ケスラーを押し出して自らリバウンドを奪った。
33分16秒のプレーでフィールドゴールは14本中5本の成功だったが、3ポイントシュートは6本中3本を沈め、16得点6リバウンド1アシスト2スティールを記録。このレイカーズ戦を含めた開幕2戦を振り返り、「相手チームのベストディフェンダーが僕をマークしてくるので、これまでとは状況が違う。まだまだ学ぶべきことはたくさんある」と話した。
◆■ドンチッチとの勝負を楽しんだ一戦…「レイカーズでの時間は特別なものだった」
リーブスとのマッチアップも実現 [写真]=Getty Images
真剣な戦いのなかにも、ドンチッチとの一対一を楽しんでいることが、2人の表情から伝わった。八村が「彼はトラッシュトークを仕掛けようとしたりしていたけど、僕はまったくそういうことは気にしない。レイカーズで2年間、彼とは楽しい時間を過ごせた」と話せば、ドンチッチは「塁のことは好きじゃない」と冗談から始め、「塁に会えて本当にうれしかった。彼は僕の大切な仲間だ」と頬を緩めた。リーブスは「塁は、僕のかつてのチームメートのなかでも一番好きな奴の1人だ」と言った。
「選手もコーチも、みんなのことが恋しかった。みんなに会えてよかった」と八村。
だが、すぐに現実に戻り、「今日は負けたけど、レイカーズは来週(29日に)僕らのコートに来てまた戦う。次の試合は勝たなければならない」と気を引き締めた。
「区切りをつけるときが来た。レイカーズでの4年間は僕にとって特別なものだった。でも今はクリッパーズにいて幸せだし、これからもキャリアを積み上げていかなければならない。8年目を迎える今シーズンは、重要なシーズン。だから、そのことに集中していきたい」。
新たな決意を力強く口にし、八村はクリプトドットコム・アリーナを後にした。
文=山脇明子