
basketballking
2026年05月01日(金)12:39

第4クォーター残り5分55秒で13点差を追いかけるロサンゼルス・レイカーズが、反撃に転じた。
レブロン・ジェームズの4連続得点で9点差まで詰め寄ると、静まり返っていた会場が活気を取り戻す。直後のタイムアウト明け、ヒューストン・ロケッツのアルペレン・シェングンが強引なドライブを仕掛けるも、八村塁とディアンドレ・エイトンに囲まれ、エイトンからブロックされた。そのリバウンドを奪ったレイカーズのオースティン・リーブスは、速攻で左側を走っていたルーク・ケナードにパスを出すと、ディフェンダーに追いつかれたケナードが、反対側の右ウィングへ両手を上げてパスを求めながら入ってきた八村に回す。
すると八村は、淀みのないフォームから3ポイントシュートを放ち、綺麗な放物線を描いたボールがネットを揺らした。7連続得点でついに6点差。勝利の希望を作った八村は吠え、レイカーズのベンチは一斉に立ち上がってガッツポーズを作り、レイカーズのホーム“クリプトドットコム・アリーナ”を埋め尽くした観客は熱狂に沸いた。
「この1シーズン、シューティングをすごく意識してやってきた。プレーオフでもシューティングが大事になってくると思うので、それをもっと意識していきたい」と話していた八村のまさに“ビッグタイムでのビッグショット”だった。
八村がこうした重要な一撃を沈め、チームが勝利をつかむ――今シーズン何度も目にした「必勝パターン」に、会場はレイカーズの逆転勝利を確信しつつあった。
だが、これがレギュラーシーズンとプレーオフの違いなのだろうか。
「リード・シェパードがプルアップジャンパーを決めて点差を5点に広げた。そして自分のターンオーバーによって相手のリードを7点にしてしまった。一瞬の出来事だった」
カンファレンス準決勝進出に王手をかけながらも2連敗。試合後、レブロン・ジェームズの声にはいつもの力強さがなかった。
レイカーズの追い上げムードが最高潮に達した残り2分59秒、レブロンが右手を高く伸ばして防御するシェングンをものともせず左手でドライビングレイアップをねじ込み85-88と3点差まで迫る。ところが、その直後のロケッツの攻撃で、身長188センチのシェパードが、身長213センチのエイトンにスイッチでつかれながらプルアップショットを決めた。
さらにシェパードは、その後のレイカーズの攻撃でレブロンがドライブを仕掛けようとスピードアップした際、左側で守られていたジャバリ・スミスに注意を向けた隙を突いて右手からボールを奪い、軽々とダンクを決めた。レイカーズは残り22.3秒にも3点差と迫ったが、実際には2年目のシェパードが、わずか17秒間で成し遂げた残り2分半前後のこのプレーにより、勝負が決まってしまった。
レイカーズのJJ・レディックヘッドコーチは試合後、「相手は今晩、ショットを決めた。普段3ポイントを決めないような選手も決めていた。我々のディフェンスは相手を99点に抑えたのだから十分に勝てるはずだったが、ショットが決められなかった。いくつかのレイアップを外し、いい3ポイントも打ったが、リムを通すことができなかった」と落胆した。
八村はフィールドゴール11本中5本の成功、3ポイントシュートも3本中2本を決めて12得点だったが、ロケッツに点差を広げられた第3クォーター中盤、その流れを変えようと放った得意のプルアップジャンパーがリングに嫌われてしまった。同終盤には、ルーク・ケナードが放ったフローターが、一旦ネットの間を通りかけながら跳ね出た。第4クォーター序盤には、この日約1カ月ぶりに左腹斜筋の肉離れから復帰したリーブスがドライブしてリングの中心に放ったフィンガーロールが、外にこぼれるなど、レイカーズは普段なら決まっているショットが入らなかった。
この試合の3ポイントシュートは、ロケッツが40本を打ち14本、レイカーズは27本を打ってわずか7本成功。さらにレイカーズは15ターンオーバーを犯して18失点だった。
3連勝スタートしたシリーズも、大黒柱のケビン・デュラントを左足首の捻挫で欠いたロケッツに2連敗と壁にぶち当たった。第6戦は中1日で、敵地ヒューストンで行われる。第4戦をヒューストンで敗れてロサンゼルスに戻って来たのは、2日前の午前4時。レディックHCは、前日の練習は選手がコートにいる時間を30分以内とし、休めるよう努めたと話していたが、この日リングの手前に当たって外れるシュートが目立ったことなどから選手の疲労は明らかだった。
だが、八村は言っていた。「チームスポーツにおいてケミストリーはとても重要だ。僕らはみんな互いを必要としている。82試合という長いシーズン中、故障や違うラインナップ、トレードなどいろんなことが起こりながらも僕らがここまで来れたのは、いいケミストリーがあったからだ」と。
開幕から約1カ月間、負傷でレブロンを欠き、シーズン最後の5試合というところでルカ・ドンチッチとリーブスが戦線離脱するなど、困難が続きながらも勝つ方法を見出し、チームのケミストリーを育んできたレイカーズ。レディックHCはそんなチームについて、たびたび「打たれ強い」と誇らしげに話していた。
つまり、このチームなら危機を打破する方法は、分かっているということだ。
文=山脇明子